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パーキングブレーキといえば、現在でも一部の商用車などで使われているスティック式、多くのドライバーに馴染み深いレバー式(サイドブレーキ)や、足で踏みこむ足踏み式が一般的でしたが、近年の新型車では電動パーキングブレーキが採用される車種が増えています。
国産車では2006年発売のレクサスLSに搭載されたのが始まりですが、ここ数年は軽自動車も含めて新型車に標準装備する車種が増えて、現在ではパーキングブレーキといえば電動パーキングブレーキが主流ともいえます。
今回は、電動パーキングブレーキのメリットとデメリットについて、紹介させていただきます。
このページの目次
各パーキングブレーキの仕組み
従来のスティック式やレバー式パーキングブレーキでは、スティックやレバーを引くことでワイヤーが引っ張られて、後輪にブレーキをかける仕組みです。
解除する時には、スティック式はひねりながら、レバー式ではボタンを押しながらもう一度引くことが必要になります。
また、足踏み式パーキングブレーキは、ペダルを踏みこむことで機械的にブレーキが掛かる仕組みで、解除するにはレバーをひくタイプともう一度ペダルを踏み込むタイプの2種類が一般的です。
一方で電動パーキングブレーキは、ワイヤーではなくモーターを使用して、パーキングブレーキの作動や解除を行う仕組みになっています。
そのため、作動や解除をする時にかすかなモーター音が聞こえることが特徴です。
車内にはスイッチを設置するだけで済みますので、デザインやレイアウトの自由度が高いことも特徴の一つになっています。
電動パーキングブレーキのメリット
力は不要、スイッチひとつで操作可能
従来のスティック式やレバー式では、引っ張る力が弱いとブレーキが十分に効かずに、坂道では車が動き出してしまう恐れがありました。
また、足踏み式でも踏みこむ力によっては、ブレーキの効きが甘くなるので、同様といえるでしょう。
一方で電動パーキングブレーキはスイッチを操作するだけですので、力の弱い人でも安定したブレーキ性能が期待できます。
車種によっては自動的にパーキングブレーキがかかる
電動パーキングブレーキは、スイッチで作動や解除をすることを前述しましたが、車種によってはATのシフトをPレンジに入れることで作動、シフト
レバーをDレンジに入れることや、アクセルを踏むことで自動的に解除できるものもあります。
パーキングブレーキのかけ忘れや、解除を忘れる心配もないので大きなメリットといえるでしょう。
坂道発進が楽になるオートブレーキホールド付きのものも
全車種ではありませんが、オートブレーキホールドが付いた車種では、シフトレバーがPレンジ以外でも、アクセルを踏みこまなければ電動パーキングブレーキが作動しているので、ブレーキペダルから足を離しても車を停止させたままにすることができます。
そのため坂道発進も楽になりますので、坂道が苦手な方には大きなメリットといえるでしょう。
なお、オートブレーキホールドは、メーカーや車種によって作動方法などが違いますので、取扱説明書などで確認が必要です。
アダプティブ・クルーズコントロールにも利用できる
アクセルやブレーキを電子制御して前車との車間距離を適正に保つ、「アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)」が付いた車種では、電動パーキングブレーキを利用して減速→停止→再発進を可能にできるものもあります。
長距離ドライブなどでは、フットブレーキとアクセルの踏みかえ回数を減らせますので、ドライバーにとって疲労の軽減が期待できます。
電動パーキングブレーキのデメリット
操作方法はメーカーや車種によって違う
従来の方式では、メーカーや車種が違っていても操作方法に大きな違いはありませんでしたが、電動パーキングブレーキはメーカーや車種によって操作方法に大きな違いがあります。
操作スイッチも作動させるのにも、押すタイプと引くタイプがあり、ATのシフトをPに入れると自動的に作動するものや作動しないものなど、統一がされていないのでレンタカーを借りた時などは、戸惑うことも多いようです。
この点では、基本操作方法の統一を各自動車メーカーにもお願いしたいところでしょう。
コストが高くついてしまう
従来のパーキングブレーキなどは簡素な構造でコストも低く抑えることが可能でしたが、電動パーキングブレーキは便利な半面、モーターや電子制御部品などの関係でコストが高くついてしまいます。
ただし今後は量産効果で、コスト面の差が縮まることに期待できるかもしれません。
電動パーキングブレーキはいらない?
今回は、電動パーキングブレーキのメリットとデメリットを中心に、紹介させていただきました。
電動パーキングブレーキの登場で、従来のレバー式や足踏み式では難しかった各電子制御装置との連携が可能になりました
アダプティブ・クルーズコントロールやその他の電子制御機器との今後の連携を考慮すると、「いらない」とするのは、車の安全性の進化を考えるうえで現実的ではないでしょう。
しかしながら、メーカーごと、車両ごとの規格が様々で、ユーザーが操作に戸惑ってしまう原因になっているのは確かです。
装備が進化して操作に迷ってしまうようでは、本末転倒です。
今後も自動運転装置などの新しい技術と融合して可能な限りの統一化を図り、より便利で安全なものが登場することを期待したいものです。
【参考】
● チューリッヒ保険会社「電動パーキングブレーキとは。しくみや凍結などの注意点」