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古くなった車を廃車した後、大型のプレス機械でグシャリと潰すだけのイメージをお持ちの方が多いかも知れません。
ところが車はボディーの鉄だけでなく、プラスチックやゴム、ガラス、布など様々な素材の部品が使用されています。
これらの部品の多くは車の解体時に取り外された後にすべてが廃棄されるのではなく、さまざまな物に再利用されているのです。
また、新車・中古車に関わらず車を購入した際にはリサイクル預託金を支払い、その証明として自動車リサイクル券を受け取りますが、その仕組みについてもあまり知られていないのが現状といえます。
そこで今回は、リサイクル預託金についての他、車の部品がどのようにリサイクルされているかを解説いたします。
このページの目次
リサイクル預託金とは
日本では年間約350万台もの車が廃車されていますが、エアコンのフロンガスが地球環境に与える悪影響や車を粉砕した時に出てくるシュレッダーダストの処理など、車の解体や廃棄によって起きる様々な問題を抱えていました。
そこでこれらの問題を解決するために2005年1月に自動車リサイクル法が施行され、自動車メーカーや輸入業者、解体業者などの関係業者が負担するだけでなく、ユーザーにもリサイクルに係る費用の準備金としてリサイクル預託金制度が実施されています。
なおリサイクル預託金は主に、車を粉砕した際に発生するシュレッダーダストの処理の他、エアバッグ類を処分しリサイクルする費用、エアコンのフロンガスを処理する費用の3項目が含まれたものです。
リサイクル預託金について知っておきたいこと
リサイクル預託金の金額は車種によって異なる
車種によって部品に使われている素材の種類や量はさまざまなことからリサイクル費用も車種によって異なりますので、リサイクル預託金は一律ではなく車種ごとに決められています。
おおよその目安としては、軽自動車や小型車で7千円~1万6千円、普通車で1万円~1万8千円ほどですが、二輪車や大型特殊自動車、小型特殊自動車など、リサイクル預託金制度対象外の車もあります。
なお、自分の車のリサイクル料金を調べたい時には、WEBの「自動車リサイクルシステム」にて検索することが可能です。
中古車として売却すればリサイクル預託金は戻ります
リサイクル預託金は車が廃車されるまでは公益財団法人自動車リサイクル促進センターに預託され、廃車となった時にリサイクル費用として使用されます。
そのため車を廃車にしないで中古車として売却する際には、リサイクル預託金はユーザーに返却され、新たにその車を購入した人が再び預託する仕組みです。
「リサイクル預託金は新車で購入する場合のみ」との情報が一部に出回っておりますが、これは間違いです。
このようなことから、リサイクル費用は廃車にする最終なユーザーが負担する仕組みとなっています。
また、自動車リサイクル券は車を売却する際や廃車にする際に必要となりますが、紛失してしまった場合は、WEBの「自動車リサイクルシステム」内の「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷することで預託済の証明が可能です。
部品のリサイクルについて
タイヤのゴムは歩道の舗装や燃料などに再利用される
車から取り外されたタイヤは中古品として再利用されることもありますが、その多くはタイヤリサイクル業者に引き取られて粉砕され、ゴムと金属に分別された後にゴムは新しいタイヤや靴などの原材料に使われるほかに、歩道の舗装材や製紙工場などで燃料として利用されています。
また金属でできたワイヤーは車や家電品などに再利用されており、タイヤのリサイクル率は90%を超えていることからも、高いリサイクル率を実現させているといえるでしょう。
エアバッグはバッグなどの素材として再利用
エアバッグには火薬が使われていることから一般での再使用や転売が禁止されていますが、専門の処理業者によって火薬部分を取り除くなどの処理後に粉砕されて、本体はナイロン素材としてバッグなどに利用されています。
ガラスもリサイクルされています
現代の車のフロントガラスは2枚のガラスに樹脂を挟み込んだ「合わせガラス」が使用されていますが、特殊な技術で樹脂を取り除いた後に粉砕されてカレットと呼ばれる原料となり、住宅などで断熱材として使用されるグラスウールや他のガラス製品などに利用されています。
ボディは溶解されて道路などに利用
自動車のボディなど鉄などの金属でできた物は他の素材と分離された後に溶解され、製鋼再生砕石として生まれ変わり、道路や駐車場のアスファルト混合物骨材などの用途に再利用されています。
また、バンパーなどの樹脂部品は工場で処理された後に再成型されて、自動車のアンダーカバーやシートのバックボードなどの内装材に利用されているようです。
まとめ:筆者「たかまさ」の考察
今回は、リサイクル預託金についての他、車の部品がどのようにリサイクルされているかを解説いたしました。
自動車リサイクル法が施行されて来年は20年を迎えますが、自動車のリサイクル技術の進化は急速に進化してきました。
現代で自動車をリサイクル後に発生する発生する廃棄物は、2022年には自動車1台あたり6㎏となり、ほとんどが何らかの形でリサイクルされていることになります。
日本における車のリサイクル制度は、持続可能な社会の構築を目指して導入された重要な取り組みの一つです。
この制度の中核を成すのが「自動車リサイクル預託金」であり、新車を購入する際に支払われ、車が廃車になった際にリサイクルの費用に充てられます。
このシステムは、使用済み自動車の適切な処理と資源の有効活用を促進し、環境負荷の低減を図っています。
預託金の具体的な使い道は、使用済み車からのフロン回収・破壊、エアバッグの回収・処理、資源としてのシュレッダーダストのリサイクルなど、多岐にわたります。
これにより、車体の約95%が再利用されるとされ、資源循環型社会への貢献が期待されています。
しかしながら、このシステムには課題も存在します。
例えば、預託金の金額が車種によって異なるため、特に大型車や高級車を対象とした際の負担感が大きいという問題があります。
また、車の寿命が伸びる傾向にある現代において、長期間保持される車に対して、預託金が長期間拘束される点も見直しが求められています。
今後の課題としては、リサイクルシステム自体のさらなる効率化と、リサイクル預託金の適正な管理と透明性の向上が挙げられます。
これにより、消費者がリサイクルへの貢献という観点からも、より納得感を持って自動車を利用できる環境を整えることが求められています。
皆さんが乗られた車も廃車後に形を変えて、現在もどこかで何かに使われているかもしれませんね。
【参考】
● 「廃棄物・リサイクル小委員会」経済産業省
● チューリッヒ保険会社「自動車リサイクル法に基づくリサイクル預託金・自動車リサイクル券とは」