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車の点検は大きく分けると、おもにユーザー自身が車の状態の点検を行う「日常点検」の他に、12ヶ月点検や24ヶ月点検など定められた期間ごとに点検を行う「法定点検(定期点検)」の2種類があります。
その他にも、新車購入後1,000km走行時または1ヶ月後にディーラーなどで受ける「初回点検」の他に、6ヶ月ごとに行う「6ヶ月点検」もありますが、どちらも乗用車では任意(商用車では「6ヶ月点検」は法定点検に含まれる)とされているものです。
今回は、「法定点検」は「車検」とどこが違うのか、また内容や受けるメリットを中心に紹介いたします。
このページの目次
「車検」の目的や罰則は?
「法定点検」の解説に入る前に、「車検」について解説させていただきます。
「車検」は正式には「自動車検査登録制度」と呼ばれるものですが、「車検」には期間が定められており、自家用乗用車と自家用軽自動車は2年(初回は3年)、バスやタクシーは1年などと、車種に応じて期間にも違いがあります。
「車検」の目的は、国が定めた安全基準をその車が満たしていることの他に、排気ガスや騒音など公害基準を満たしていることなど、国の定めた基準をすべて満たしているかどうかを検査することです。
なお「車検」を受けていない車で公道を走行させると、道路運送車両法違反によって6ヵ月以上の懲役または30万円以下の罰金と、重い罰則を受けることになります。
「法定点検」の内容は?
12ヶ月点検の内容について
12ヶ月点検は27項目にわたって点検を行いますが、その主な内容は下記のようなものです。
- タイヤのすり減り具合やホイールの締め付けなどの走行装置に関するもの
- パワーステアリングのベルトの緩みなどのかじ取り装置に関するもの
- ブレーキペダルの遊び、ブレーキフルードの漏れなどの制動装置に関するもの
- トランスミッションやプロペラシャフトなどの動力伝達装置に関するもの
- バッテリーの接続状態や劣化、点火プラグの劣化などの電気装置に関するもの
- エンジンオイルやラジエーターの水漏れや、各種ファンベルトのたわみや劣化などの原動機に関するもの
- マフラーなど排気装置の取り付けの緩みなど、エクゾーストパイプやマフラーに関するもの
24ヶ月点検の内容について
12ヶ月点検の27項目に30項目を加えて計57項目にわたって点検を行いますので、より細かくチェックがされることになります。
下記は追加される項目の一例です。
- 悪臭をもたらすガス、有毒ガスなどの発散防止装置の損傷や機能など
- サスペンションの取り付け緩みや損傷、ショックアブソーバーのオイル漏れや損傷など
- ホイールアライメントやパワーステアリングのベルトの緩みやオイルの量など
- ホイールベアリングのガタ
- トランスミッションオイルの量や漏れ
- 点火装置の点火時期など
- 燃料漏れ
- 車体の緩みや損傷があるかなど
「法定点検」の目的やメリットについて
「法定点検」はトラブルを予防するもの
「車検」は受けた時点で、車の安全面や公害防止面が保安基準を満たしているか検査するもので、次の検査まで故障をしないことや車の安全な走行ができることを保障するものではありません。
一方で「法定点検」は故障など車のトラブルを防止して、性能を維持させて安全な走行をさせることが大きな目的になります。
なお「法定点検」を行うことは道路運送車両法によって義務化されていますが、「車検」のような罰則規定はありません。
「法定点検」は自分ではできない?
「法定点検」を受ける際に、必ず整備業者で行わなくてはならない決まりはありませんので、自分自身で点検を行うことも不可能ではありません。
ただし、専門知識や点検整備に要する時間や場所が必要になってきますので、自動車整備工場などプロにお任せすることが一般的になっています。
とくに24ヶ月点検は点検項目も多く、車検にも関わってくることから、知識や整備の経験がある人以外は、車検と一緒に整備工場で行うほうがよいでしょう。
「法定点検」をうけるメリット
「法定点検」を受けることは、故障など車のトラブルのリスクを減らすことができることが、最も大きなメリットです。
また早めに不具合のある部品やオイルなどを交換することで、車の寿命を延ばすことにもつながります。
その他にも、整備記録簿に点検内容が記載されることで車の整備状況がつかみやすいことや、12ヶ月点検時に不具合のある部品を交換しておくことで、車検時に必要な部品交換などの整備費用を分散させることもメリットとして挙げられます。
なお、「法定点検」を行っていないと、車のメーカー保証が受けられないことや、下取り査定時に買い取り価格が下がる場合もあるようです。
まとめ
今回は「法定点検」は「車検」とどこが違うのか、内容や目的、受けるメリットを中心に紹介いたしました。
点検には整備業者に委託した場合は費用が発生しますが、義務化されていることや、ご紹介しましたように受けるメリットや受けていないときのデメリットを考えると、しっかりとに行っておきたいものです。
【参考】
● 点検整備の種類 | 自動車 – 国土交通省