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新車購入時や車検を受ける際に加入して保険料を支払う自動車賠償責任保険(以下:自賠責保険)ですが、2023年1月18日に損害保険料率算出機構より金融庁長官宛に、自賠責保険料の改定の届出が提出されました(1月30日に適合性審査終了)。
これによって、2023年4月からの自賠責保険料が改定されることになりますが、前回改定時の2021年4月より保険料が引き下げになることが明らかになっています。
また同時期に国土交通省が自賠責保険に関して。2023年4月より賦課金の内容を改定して保険料を増額することを発表しました。
今回は2023年4月より、自賠責保険料がどう変わるのかを紹介いたします。
このページの目次
自賠責保険とは
交通事故による被害者の救済を目的に、原付バイクを含むすべての自動車に加入が義務付けられている強制保険が自賠責保険になります。
被害者の身体に関わる救済を目的にしているため、車両や建物など物への損害は補償の対象外です。
補償額は死亡:3,000万円、ケガ:120万円、後遺障害:程度によって75万円~3,000万円(一定の要件では4,000万円)になっています。
なお、自賠責保険に未加入の自動車を運行した場合は、自動車損害賠償保障法の違反となり、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を課せられ、さらに交通違反として違反点数6点の罰則と、非常に重い処分を受けることになりますので注意が必要です。
保険料引き下げの要因とは
自賠責保険の保険料は3つの保険料から成り立っています
自賠責保険料の保険料率は、保険会社が被害者に支払う保険金に充てる「純保険料」、保険会社の必要経費に充てる「付加保険料」、ひき逃げや無保険車による事故の被害者の救済の財源の「賦課金」から成り立っています。
今回の改定の背景は
今回の改定では「純保険料」が、近年の車の安全装備の充実や死亡事故の減少などにより、2021年の改定時より収支が改善傾向であるため、12.4%の引き下げ余地が生じていることが、損害保険料率算出機構より報告されました。
次に「付加保険料率」も事故件数の減少によって、損害調査費用などの費用が抑えられるために0.2%の引き下げ余地が生じていることが判明しています。
また、「賦課金」については、被害者支援のための資金が不足していることにより、引き上げ相当分として1.2%ほどが生じているそうです。
これらの背景を踏まえて、今回の改定では保険料引き下げが決定されました。
保険料の平均引き下げ率は11.4%へ
自家用自動車では24ヶ月17,650円の保険料に
今回の改定保険料は、保険始期が2023年4月1日以降の契約から適用されますが、主なものは下記のようになります。
<保険期間24ヶ月>
●自家用乗用自動車
現行:20,010円→改定後:17,650円(-11.8%)
●軽自動車
現行:19,730円→改定後:17,540円(-11.1%)
●小型二輪自動車
現行: 9,270円→改定後: 8,760円(-5.5%)
●原動機付自転車
現行: 8,850円→改定後: 8,560円(-3.3%)
<保険期間36ヶ月>
●自家用乗用自動車
現行:27,180円→改定後:23,690円(-12.8%)
●軽自動車
現行:26,760円→改定後:23,520円(-12.1%)
●小型二輪自動車
現行:11,230円→改定後:10,490円(-6.6%)
●原動機付自転車
現行: 11,590円→改定後: 10,170円(-4.0%)
ちなみに2017年の保険料改定時には、自家用乗用自動車(24ヶ月)の保険料が25,830円でしたので、31%ほど引き下げられています。
一方で賦課金は自家用車で年125円に
従来では「賦課金」が2年分で32円を保険料によって徴収されていましたが、国土交通省による改定で自家用車では、2023年4月1日より年125円に引き上げられることになりました。
また内容も現行のひき逃げや無保険車による事故の被害者の救済に加えて、交通事故による重度な障害を負った被害者への支援、障害を負った被害者のための施設の充実、事故防止対策として自動ブレーキの普及などに充てる費用などが盛り込まれる予定です。
今回の記事のまとめ
今回は2023年4月より自賠責保険料がどのように変わるのか、保険料改定の背景や変更後の保険料、賦課金の変更点を中心に紹介いたしました。
保険料の引き下げはユーザーにとってはありがたいことですが、昨今のニュースで取り上げられた財務省による自賠責保険料からの借り入れの未返済問題を考えると、保険料の使い道を国民に明確化する努力が必要であるといえるでしょう。
【参考】
● 損害保険料率算出機構「自賠責保険 基準料率届出のご案内」