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普段の運転では無意識に動かすことが多い車のウインカーレバーですが、国産車では右側、左側にはワイパーのレバーが付いているのがスタンダードになっています。
一方で輸入車に乗られたことがある方はご存じかと思いますが、右側通行で左ハンドルのドイツ車やフランス車では、右ハンドル仕様に変更されていても、ほとんどの車(一部、日本メーカーでのOEM車は除く)が左側にウインカーレバーが付いています。
では、日本と同じ右ハンドルのイギリス車はどうかと言うと、こちらもやはり左側に付いているのです。
このように海外では左側が、スタンダードなものとなっています。
今回は国産車のウインカーレバー位置、その謎について解明していきましょう。
このページの目次
国産車が右ハンドルになった理由
ウインカーレバーが右側の謎に迫る前に、国産車が右ハンドルになった理由を考えてみましょう。
世界中を見渡してみると、アメリカをはじめ、フランスやドイツ、中国と、左ハンドルの国(右側通行)が主流です。
一方で右ハンドル(左側通行)を採用している国は、日本をはじめとしてイギリス、タイ、オーストラリアなどの一部の国で少数派になります。
日本で車は左側通行となった理由は、イギリスを手本に交通のシステムを見習ったことなど諸説あるようですが、1949年施行の道交法でも、「車両は道路の中央から左側を通行しなければならない」と定められています。
左ハンドルの車に乗られたことがある方は経験があるかと思いますが、左側通行の日本では車同士のすれ違いや右折時に、左ハンドルの車は何かと神経を使いますよね。
またシフトレバーは左手で操作するので、利き手の人が多い右手でハンドル操作に集中できる右ハンドルの方が、運転もしやすいと思う人がほとんどかと思われます。
このような理由で、日本では右ハンドルが採用されています。
国産車のウインカーレバーが右側は、日本独自のスタンダード
左手でシフトレバー操作
現代ではAT(オートマチック)車が主流ですが、以前はMT(マニュアルシフト)車がほとんどでした。
また、タクシーのようにハンドルの左側にシフトレバーが付いた、コラムシフトと呼ばれるものも、自家用車にも数多く存在したようです。
MT車(特にコラムシフト車)の場合、頻繁にシフトレバーを動かす関係から、左側にウインカーレバーを付けると誤操作の原因にもなります。
そのため、ウインカーレバーは右側が定着しました。
JIS規格の存在
実用的なことも右にある大きな理由ですが、もう一つ大きな理由があります。
車だけでなく家具や電化製品など、国内で製造されるほとんどの工業製品には、製品の種類・寸法や品質・性能、安全性を定めた、日本製工業製品のスタンダードでもあるJIS(ジス)規格があります。
実は国産車のウインカーレバーが右側にあるのも、このJIS規格によって定められているのです。
以上2点が、国産車のウインカーレバーが右側にある、大きな理由と言えるでしょう。
ほとんどの国で、ウインカーレバーは左側に統一されています
こちらでは海外のほとんどの国で、ウインカーレバーが左側についている理由について述べてみます。
世界的には左ハンドルが主流
前述しましたが、アメリカをはじめ、フランスやドイツ、中国といった多くの国では、右側通行を採用しているので左ハンドルが主流になっています。
左ハンドル車の場合、右手でハンドル操作とシフト操作をするので、ウインカーレバーは左側に付いていたほうが操作しやすいですよね。
このことが、左側についている理由のひとつになっています。
ISO(国際標準化機構)の存在
国際的な標準規格として、ISO(国際標準化機構)という、国際的な工業製品の技術や安全についての規格があります。
このISOによって、2007年以降は「ハンドル位置の左右に関係なく、ウインカーレバーは左側、ワイパーレバーは右側」が、強く推奨されているのです。
そのため、世界のほとんどの国ではごく一部の国(タイなど)を除き、ISOの規格に準じてウインカーレバーは左側で統一されています。
左ハンドルは危険として、割高な保険料などのペナルティもあるイギリスやオーストラリアでさえも、左側を採用しているのです。
では、日本で製造されて海外へ輸出される車はどうでしょう。
実は日本から輸出される車はISOの規格に從って、特別な場合除き左側にウインカーレバーがついています。
日本は左右混在している珍しい国
日本ではISOの規格ができる2007年以前より前述した理由により、ウインカーレバーは右側の習慣が国民にも広く浸透していたので、JIS規格を優先して右側を採用しています。
実はISOの規格に準じて変更する議論もされましたが、右側から左側への変更による大きな混乱を避けることもあり、現状のままJIS規格を優先するとされました。
また日本に輸入される車は、多大なコストが係ることから、右側に変更することなく、左側のまま販売されています。
このように日本国内では、国産車と輸入車でウインカーレバーの位置が左右混在している、世界でも珍しい国といえるでしょう。